エネルギー自由化で、「雲の宇宙船」が必要となる理由をお話しします。

震災以後、恣意的なエネルギー議論が展開されているので極めてとらえにくく見えますが、実は震災以前も、以後も、エネルギー安全保障の要諦が多様化、分散型への移行である事は、基本軸として国際的に変わっていません。また、今後は高度情報システムの出現によって保安の高質化と業務合理化が同時に可能になり、消費者サイドに十分な情報が提供されていきます。これは、消費者に満足される選択肢を提供できなければ、事業として成り立たなくなることを意味します。

エネルギーの自由化がどのようなプロセスを経てどこに帰結するかは分かりませんが、市場の要請に応じてエネルギーボーダレス時代を迎える前提であれば、欧米のように垣根を越えてアンバンドリングが進むことは、想定しておくべきでしょう。業界の垣根を挟んだ細かな法律論から、ガスも電力も情報もパッケージで自由に販売できる事になれば、海外のように業務領域間の資本規制をどうするかとか、行政区域の違いに応じた区分規制の検討が始まると思います。

まずは、エネルギー全体の規制法や行政区域に応じた法律の在り方論になるのだろうと思います。国の統治システムが、地域特性を生かす方向に進むとすれば、海外の例を見るまでもなく地域の主権や特性に応じた規制の在り方や、地域に根差し、地域を支える事業者の方々の資本連携や、業務連携が進めやすい規制緩和に向かうと思われます。

規制で相対化され、細分化された事業環境から一定の集約化が進むなかで、事業者の方々が資本と経営を分離し、リスクを取った絶対的決断ができ、その事によって消費者の利益に資する大義が担保されるような自由化の在り方が問われると思います。そうであれば、制度改革の議論に委ねる前に、われわれ自身が、お世話になっている地域の消費者の方々が何を望んでいらっしゃるかを真剣に考える必要があります。

望まれるエネルギー事業の実現に向けて、事業者がどう連携するべきかを消費者目線で検証し、法律の規制をどう緩和してもらうか、国の協力をどのポイントでお願いするのかを考えなければならないと思います。ここでも重要になるのは、情報の合理的なオペレーションシステムであり、ここが、シナジー創出の要諦だと、私たちは確信しています。