スマートハウスとは?|スマートホームとの違いや活用できる補助金・助成金を紹介

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公開日:2024-03-08
更新日:2024-03-29

スマートハウスとは、ICT技術を用いてエネルギーを有効活用する住宅を指します。スマートハウスにすることで、エネルギー消費の最適化だけでなく、蓄電によって災害時の停電対策にもつなげられます。この記事では、スマートハウスに必要な設備やメリット・デメリット、活用できる補助金などを詳しく解説します。

1. スマートハウスとは?

最近、電気代が高くてやりくりが大変だよ。

わりと節電しているつもりでいたけど、請求書を見るとやっぱり高いね。

節電を意識しているだけじゃダメなのかな……もっとうまくやれる仕組みってないのかな?

この前テレビで「スマートハウス」っていうのが話題になってたような……ちょっと一緒に調べてみようか。

スマートハウスとは、ICT技術を用いてエネルギーを有効活用する住宅のことを指します。例えば、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム:ヘムス)というシステムを導入すれば、太陽光発電システムや蓄電池により、ご家庭での電力利用を効率化できます。

また、家電製品や電気設備をHEMSに接続することで、どの機器がどのくらいの電力を消費しているか、どの時間帯の電力消費が多いかなど「電力の見える化」にもつながります。最適制御による「省エネ化」を実現できます。

スマートハウスは単に電気の節約に取り組むだけではなく、太陽光発電システムでつくった電気を蓄電池にため、災害時などの停電対策にもつなげられる仕組みです。住宅の省エネとCO₂の排出削減にも役立ち、国も2030年までに85%の住宅にHEMSを設置することを目指しています。

2. 関連した言葉との違いは?

スマートハウスと関連した言葉に、スマートホームやIoT住宅、ZEH(ゼッチ)などが挙げられます。それぞれの言葉にどのような違いがあるのかを解説します。

スマートハウスとスマートホームとの違いは?

スマートハウスとは、ICT技術を用いてエネルギーを有効活用する住宅のことを言います。

前述の通り、HEMSという家庭のエネルギー使用を管理するシステムを用いて、創エネ(太陽光発電システムなどを用いて家庭内でエネルギーを創り出す)・蓄エネ(蓄電池などでエネルギーを家庭内に蓄える)・省エネ(省エネ設備を導入することで、エネルギーを最適化する)を上手にコントロールすることを可能にした住宅です。

一方で、スマートホームはIoT(Internet of Things:アイオーティー)によって、「モノのインターネット」を実現する住宅を指します。IoTとは、様々な家電製品や電気設備をインターネットに接続し、より便利にモノを使える技術を言います。

具体的には、外出先から電源のON/OFFや温度調節ができるエアコン、声で電源のON/OFFや明るさ調整ができる照明、必要な食材を入れるだけでレシピ通りの料理をつくれる調理器具などが挙げられるでしょう。スマートホームとIoT住宅はほぼ同じ意味の言葉で、インターネットにひも付けされた設備によって、より快適な暮らしが得られる住宅を指します。

Wi-FiやBluetoothなどのICT技術を製品本体に搭載し、スマートフォンで操作できる家電製品をスマート家電(IoT家電)と言います。一方で、ICT技術を搭載していない家電製品をスマート家電のように操作するには、スマートリモコンと呼ばれるデバイスが必要です。スマートホームを実現するために欠かせない機器なので、積極的に活用してみましょう。

スマートハウスとZEHとの違いは?

ZEHとは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略語です。高断熱・省エネ・創エネ等により、ご家庭でのエネルギー収支をゼロ以下にすることを目的とした住宅を指します。

ZEHにおいては消費するエネルギーを減らしながら、ご家庭でつくり出すエネルギーを増やしてエネルギー収支のバランスが取れます。そのため、節電を目的として暑さや寒さを無理に我慢せずに、快適な暮らしを維持しながらエネルギーの利活用に取り組んでいけるでしょう。

ZEHでは、省エネや創エネでHEMS・高効率機器・太陽光発電システムなどを用いるので、スマートホームの一種とも考えられています。

3. スマートハウス化に必要な設備は?

住宅のスマートハウス化を進めるには、HEMS・太陽光発電システム・蓄電池などの設備が必要です。それぞれどのような設備かを解説します。

HEMS

HEMSは住宅で使用しているエネルギーの使用量や家電製品などの稼働状況を見える化するためのシステムを指します。一般的に、ご家庭のエネルギー使用量は電力会社から毎月送られてくる請求書などで確認できますが、1ヶ月分の使用量しか把握ができません。

HEMSを導入すれば、1日単位や1時間単位でのエネルギー使用量をより詳しく把握することが可能です。そのため、エネルギーをどの時間帯に無駄遣いしているのかが分かり、省エネ意識の向上に役立つでしょう。

家電製品や電気設備を上手にコントロールできるため、住宅の省エネ化を促進できます。

住宅の省エネ化を進めるには、使用する住宅設備の見直しを図ることも大切です。ガスと電気の利点を組み合わせたハイブリッド給湯器を設置すれば、ガス給湯器とヒートポンプ給湯器によって効率良くお湯をつくることができます。水回り設備は毎日使うため、省エネにつながるものを導入することも検討してみましょう。

太陽光発電システム

太陽光発電システムとは、太陽光をエネルギー源として電力に変換する設備を指します。シリコン半導体を用いた太陽光パネルを日当たりの良い屋根などに設置し、発電する仕組みです。

太陽光発電システムによってつくられた電気は再生可能エネルギーなので、CO₂を排出せず環境への負荷を低減できるのが特徴です。ただし、地域や気候によって発電量が変動するため、蓄電池を設置するなどして電気を蓄え、安定的に使える環境を整えていく必要もあるでしょう。

太陽光発電システムを導入すれば、ご家庭で使用する電力をまかなうことにつながり、住宅のスマートハウス化に役立ちます。再生可能エネルギーであるため、長く使い続けるほど得られるメリットは大きくなります。太陽光発電システムについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

太陽光発電の仕組み|導入のメリットと注意点を紹介

蓄電池

蓄電池を設置すれば、太陽光発電システムでつくった電気をためることができ、必要なときに家電製品などへ電気を供給できます。日中の発電時間帯など自家消費できない電気をためられるので、太陽光発電システムで発電した電気を効率良く使えるでしょう。

また、蓄電池に電気をためておくことは、災害時の非常用電源としても役立ちます。蓄電池を導入しなくても、V2H対応の電気自動車(EV)を購入すれば、蓄電池と同じように発電した電気を蓄えられるため、ご家庭のエネルギー効率を良くできるでしょう。

蓄電池と太陽光発電システムだけでなく、ハイブリッド給湯器を導入することで、省エネ、災害対策にもつながります。また、蓄電池やハイブリッド給湯器には補助金も付きます。例えば、蓄電池であれば子育てエコホーム支援事業、給湯器であれば給湯省エネ2024事業で補助を得られます。ニチガスでは、このような住宅のスマートハウス化に役立つDER(分散型エネルギーソース)機器を取り扱っております。DER機器について、さらに詳しく調べたい方はこちらを参考にしてみてください。

4. スマートハウス化することのメリット・デメリットは?

住宅をスマートハウス化するメリットとして、電気代の節約や災害対策につなげられる点が挙げられます。一方、導入や運用にコストがかかる点などがデメリットです。

ここでは、住宅をスマートハウス化することのメリット・デメリットを解説します。

スマートハウス化のメリットは何?

住宅のスマートハウス化で、次のようなメリットが得られます。

  • 電気代を節約できる:自家発電と蓄電による電気の自給自足
  • エネルギー効率が良くなる:HEMSによる使用電力の最適化
  • 災害対策につながる:災害時に非常用電源として活用可能
  • CO₂排出量削減による地球環境への貢献が可能

太陽光発電システムと蓄電池の活用により、電気代を節約できるのはスマートハウス化の大きなメリットです。太陽光発電システムで蓄電池にためた電気を夜間に使用すれば、電力会社から購入する電気を減らせるでしょう。

また、HEMSを導入することでエネルギー消費量が見える化でき、無駄なエネルギーの使用を減らせます。快適な暮らしを維持しながらも、環境に配慮した暮らしができるのがスマートハウスの特徴です。

さらに、蓄電池にためた電気は災害時の非常用電源として活用できます。長く住み続けられる住宅を得るには、防災力を高めることも大切です。

スマートハウス化のデメリットは何?

一方、スマートハウス化のデメリットとしては、太陽光発電システムや蓄電池などを導入する際に、高額な初期費用がかかる点が挙げられます。しかし、自治体によっては導入するための補助金や助成金制度を設けているところもあるので、負担の軽減につなげられるでしょう。

設備の設置だけでなく、維持管理にも費用がかかるため、トータルの費用を踏まえたうえで検討していきます。自治体によっては長期優良住宅に認定されていることなどを条件として掲げている場合もあるので、どのような要件を満たせば支援を受けられるのかをチェックしておきましょう。

スマートハウスって、電気代の節約だけではなくて、災害のときの備えにもなるんだね。

地震とかのときでも、電化製品が使えるのは助かるね。

今度、モデルハウスを見学するときに、スマートハウスにするのにいくらかかるか聞いてみようか。

お金のことは気になるから、補助金のこととかも聞いてみたいね。

マイホームをスマートハウス化することは、電気代の節約やエネルギー効率の向上、災害対策などにつながります。一方で、スマートハウス化を実現するには設備の導入コストなどが発生するので、各自治体が設けている補助金や助成金を活用したり、初期費用がかからないようなサービスを使用したりすることが大切です。

5. 活用できる補助金・助成金は何?

住宅のスマートハウス化を促進するための補助金、助成金制度が各自治体で設けられています。制度の内容はそれぞれの自治体によって異なるため、最新の情報については自治体のホームページなどで確認しましょう。

ここでは、東京都・埼玉県の制度についてポイントを解説します。

東京都:東京ゼロエミ住宅の助成制度

2023年度の東京ゼロエミ住宅の助成制度では、太陽光発電システムに関する上乗せ補助の実施や申請方法の見直しなどが行われています。助成金の申請には、東京ゼロエミ住宅の設計確認書の提出が必要で、工事着工前に認証審査機関に申請しなければなりません。

「地域型住宅グリーン化事業」などとの併用が可能です。支給された助成金は総収入金額に算入されないので税制上の優遇措置も受けられます。

出典:東京都環境局「助成制度」

埼玉県:家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金

ご家庭における脱炭素化を目的としており、既存住宅に新たに省エネ・再エネ活用設備を導入する場合に補助金が支給されます。蓄電池やV2H充放電設備などを導入した場合、1件あたり10万円の補助が受けられる仕組みです。

交付決定前に工事を行なったり、すでに工事が完了したりしている場合は補助の対象とならないので注意しましょう。

出典:埼玉県「令和5年度 家庭における省エネ・再エネ活用設備導入補助金」

6. スマートシティについても知っておこう

スマートハウスは個別の住宅に関するものですが、都市全体として見たときにスマートシティという概念も存在します。スマートシティとは、IoTやAIなどの先端技術を活用し、エネルギーや交通網などの都市インフラを効率化させた都市を指すものです。

人々の暮らしの質を高めたり、行政サービスを充実させたりする狙いがあります。5Gなどの高速かつ大容量の通信技術を活用し、膨大なデータを集めて分析することで災害予測などを行っているのが特徴です。

また、スマートシティでは自動運転などの技術も取り入れられており、交通渋滞の緩和など様々な社会課題の解決につなげていくことが期待されています。スマートシティについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

7. まとめ:スマートハウスも家づくりの選択肢に入れてみよう

スマートハウスはICT技術を使い、エネルギーを効率良く使用する住宅を指します。HEMSというシステムを導入すれば、ご家庭で使用する家電製品や電気設備などの使用状況などを適切にコントロールできます。

電気代の節約や無駄な電気の使用を抑えられるだけでなく、蓄電池に電気をためておくことで、災害時の備えにもなるでしょう。住宅のスマートハウス化には設備の導入コストなどもかかりますが、各自治体の補助金制度などを活用すれば負担の軽減につながります。

スマートハウスに関する知識を深めることで、今後の家づくりを考える際にスマートハウスも選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。

ニチガスでは住宅のスマートハウス化に役立つDER(分散型エネルギーリソース)機器を取り扱っております。蓄電池やハイブリッド給湯器などを導入することで、電気代の節約やエネルギー効率の向上、災害対策などにつなげていけます。DER機器について、さらに詳しく調べたい方はこちらを参考にしてみてください。

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