EV(電気自動車)とは?|ハイブリッドとの違いやメリット・デメリットを紹介

  • エネルギー機器
公開日:2024-03-08
更新日:2024-03-29

EV(電気自動車)とは、ガソリンを使用せずに電気で走る自動車であり、エコカーの一つとして注目されています。しかし、EVの基本的な特徴についてはガソリン車と比べ、まだ知られていない点も多いでしょう。

この記事では、EVが備える特徴やメリット・デメリット、選ぶときのポイントなどを解説します。

1. EVとは?

車を新しく買い替えたいって思っているんだけど、EVってどうかな?

EVって、電気自動車のこと?何だか高いイメージがあるんだけど……。

買う時だけじゃなくて、維持する費用も知りたいね。

そうだね。充電設備の設置費用も気になるし、調べてみよう。

EV(電気自動車)とは、車に搭載しているバッテリーから電動モーターに電流を流すことによってモーターを回転させ、走行する自動車のことです。日本で、一般消費者向けに電気自動車が販売されたのは2010年からですが、高性能なバッテリーの開発などが進み、徐々に普及が進んでいます。

一般財団法人の自動車検査登録情報協会がまとめた「わが国の自動車保有動向 ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移表(令和3年)」によれば、2021年3月末時点での電気自動車の保有台数は、乗用車で12万3,708台です。

出典:自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向 ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移表(令和3年)」

2. HV・PHV・FCVとの違いは?

EVの基本的な特徴を理解するには、HV・PHV・FCVなどとの違いを押さえておく必要があります。どのような違いがあるのかを見ていきましょう。

HV(ハイブリッド車)

HV(ハイブリッド車)は、一般社団法人の日本自動車販売協会連合会が公表している「ガソリン価格の推移と年間自動車販売台数の変化」によれば、2022年時点において日本国内でもっとも普及しているエコカーです。国内の乗用車販売台数の48.98%を占めており、ガソリン車の42.22%を上回っています。

EVとHVが大きく異なる点は、車を動かすための動力数だといえます。HVの場合、エンジンと電動モーターの2つの動力を組み合わせて走行するため、EVのように外部から充電を行いません。発進時・走行時・加速時にそれぞれ使用する動力を変えられるため、効率の良い走行が実現できます。

出典:日本自動車販売協会連合会「統計データ」

PHV(プラグインハイブリッド車)

PHV(プラグインハイブリッド車)とは、外部電源からの充電が行えるHVのことです。一般的にHVのモーターを動かすバッテリーは、走行時や減速時のエネルギーを活用して、自動的に充電する仕組みとなっています。

そのため、外部から自由に充電することはHVの場合はできません。PHVはそうしたデメリットを改善したものであり、PHVであれば好きなときに充電することが可能です。

EVとHVの良い部分を兼ね備えているのが、PHVの大きな特徴だといえます。

FCV(燃料電池車)

FCV(燃料電池車)は、名前の通り燃料電池を使用した自動車です。燃料電池は水素と酸素の化学反応から電気を取り出す仕組みであり、FCVは発電によって得られた電力をモーターに送って動力として使用します。

FCVの大きな特徴は、エンジンを使用していないため、CO₂の排出量がゼロという点です。水素という新たな燃料を動力としていることがポイントだといえます。

3. EVのメリット・デメリット

EVには数多くのメリットがある一方で、あらかじめ注意しておきたいデメリットも存在します。EVが備えるメリットやデメリットについて詳しく解説します。

EVのメリット

EVのメリットとして、以下の点が挙げられます。

  • 排気ガスを排出しない
  • 燃料代の節約につながる
  • Webとの連携ができる
  • 自動車税の優遇措置を受けられる
  • 補助金を活用できる

各メリットについて、ポイントを解説します。

排気ガスを排出しない

EVは電気を動力源としているため、ガソリン車と違って排気ガスを排出しないのが大きな特徴です。排気ガスに含まれているCO₂は地球温暖化の原因の一つと言われていますが、EVであれば環境への負荷を抑えられます。

また、EVに備わっているバッテリーを充電しておけば、災害時などの非常用電源としても役立てられます。地震や台風といった災害への備えや身近な給電方法として活用できます。

燃料代の節約につながる

EVは車としての機能だけでなく、蓄電池としての機能も備えています。自宅に充電設備が整っていれば、寝ている間に自宅で充電ができるので手間をかけずに使用できるでしょう。

V2Hを備えていれば、家庭用のコンセントから充電する場合と比べて、スピーディーな充電が可能となります。V2Hとは、「Vehicle to Home(車から家へ)」のことで、EVに蓄えた電気を家電製品などにも使用可能な双方向充放電システムを言います。

安定的に給電できる仕組みを整えることによって、ガソリン車と比べて燃料代がかさむといった心配を軽減できるはずです。

EVによって燃料代の節約につなげるためには、太陽光発電システムを導入してみることも検討してみましょう。太陽光発電システムによって得られた電気をEVのバッテリーに蓄えておけば、車の使用だけでなく家電製品を使用するときの電気としても活用できます。また、非常用電源としても使用できるので災害時の備えとして役立つでしょう。

「車から家へ」を意味するV2Hは、EVに蓄えた電気を家庭用の電気として活用することを指します。EVだけで見たときはガソリン車と比べて購入価格が高めに感じられますが、ご家庭の電気代を抑える一つの方法として見ると、家計にとってプラスになる部分も大きいといえるでしょう。また、ニチガスでは提携する蓄電池メーカーのPowerX社を通じて営業所に蓄電池付きのEV用急速充電器を導入し、営業車輛の充電に活用しています。

Webとの連携ができる

EVはスマートフォンからアプリなどの操作を通じて、インターネットとの連携が行えます。具体的には遠隔操作でエンジンを入れたり、自動で修理の連絡をしたりすることが可能です。

車の近くにいないときでも、状況を的確に把握できるので使い勝手の良さを感じられるでしょう。

自動車税の優遇措置を受けられる

EVの購入をすると自動車税の優遇措置を受けられます。自動車の環境性能で税率が決められる「自動車税環境性能割」は、EVの場合は非課税です。通常は新車や中古車に関わらず1~3%の税率が課されるので、税負担の軽減につながります。

また、「自動車重量税」については一定の燃費基準などを満たすとエコカー減税の対象となります。そして、毎年4月1日時点の所有者に対して課される「自動車税」は、EVはそもそも排気量がないので、もっとも低い税率です。

加えて、環境性能が優れた車に適用されるグリーン化特例はEVも対象となっているため、新規登録した翌年の税金が約75%軽減されます。

補助金を活用できる

EVを購入すれば、国が実施しているクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)が交付されます。2022年度における補助金の上限は、給電機能がある車で85万円、給電機能がない車で65万円でした。

また、自治体によって独自の補助金制度を設けている場合もあるので、EVを購入する前にどのような制度があるのかを調べておくとよいでしょう。

出典:経済産業省「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」

EVのデメリット

EVのデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 充電設備が必要
  • 給電時間が長い
  • 購入価格が高め

あらかじめ気をつけておきたいデメリットを解説します。

充電設備が必要

EVの購入で気をつけておきたいのは、自宅で充電を行うためには充電設備の工事が必要な点です。充電用コンセント自体は数千円程度から購入が可能ですが、EVの充電設備にはブレーカーが必ず必要なため、全ての工事費用を合わせると10万円程度がかかります。

ただし、自宅に充電設備を設置する際にかかる費用は補助金の対象となるケースや、メーカーが費用をサポートしてくれるケースもあるので事前に確認しておきましょう。また、集合住宅に住んでいる場合は、充電スポットを使用するのが一般的です。

EVはバッテリーを蓄電池としても活用できるので、太陽光発電システムと組み合わせることで、ご家庭における電気を「つくる・ためる・使う」仕組みを整えられます。ニチガスでは、トライブリッド蓄電システムをご提供しているので、ぜひお問い合わせください。

給電時間が長い

EVの充電方法は、普通充電と急速充電の2タイプがあります。急速充電であれば、約40分で8割程度の充電が可能ですが、ガソリン車と比べると時間がかかってしまうのがデメリットだといえるでしょう。

ただし、今後は超急速充電が普及していく見通しであるため、充電にかかる時間は次第に短縮されていくことが期待されています。

購入価格が高め

EVはガソリン車に比べて、車本体の購入価格が高いと言われています。価格が割高になってしまうのは、バッテリーとして使用されているリチウムイオン電池の製造にコストがかかるからです。

前述のCEV補助金を活用すれば、最大で85万円の補助を受けられますが、対象となる車種が限られているので注意が必要です。また、車種ごとの価格差も大きいので慎重に検討しましょう。

4. EVを選ぶときのポイント

EVを選ぶときのポイントとして、「航続距離での比較」や「予算での比較」などが挙げられます。基準となるポイントを見ていきましょう。

航続距離で比較

航続距離とは、燃料が満タンの状態でどの程度の走行ができるかを表すもので、EVにおいてはバッテリーの容量が影響しています。バッテリーの容量が大きければ航続距離は長くなりますが、その分だけ車本体の価格は高くなります。

使用頻度を考慮したうえで、適切なバッテリー容量の車を選びましょう。

予算で比較

ガソリン車と比較をすると、まだEVは販売されている車種が少ないので、選択肢はそれほど多くありません。予算に応じて購入できる車種がある程度決まるため、CEV補助金でどれくらいの補助が受けられるのかを基準としてみるのも、一つの方法です。

EVって、家でも充電できるから、燃料代の節約につながるんだね。

自動車税の負担も減るみたいだし、何かとメリットが多いね。

使える補助金についてもチェックしないとね。

そうだね。充電設備のことも、今度カーディーラーの人に相談してみよう。

5. まとめ:EVの特徴を把握して、買い替えを検討してみよう

EVは燃料代の節約につながり、排気ガスを排出しないため、家計と環境に優しいというメリットを備えています。一方で、充電までに時間がかかったり、購入価格が高めという点には注意も必要です。

補助金制度の活用や税制上の優遇措置をどの程度受けられるかといった点も踏まえ、車の買い替え時にはEVを検討してみましょう。航続距離や予算など、EVを選ぶときの基準を押さえ、ライフスタイルに合った車を選んでみてください。

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