人的資本の最大化

必要なスキルの確保

当社の成長には、新たなスキルの確保による社員一人ひとりの成長が必要不可欠であり、この必要性は日々高まっていると考えます。この背景には、技術の進歩に伴い既存のビジネスモデルの陳腐化が早くなっていることや、IT技術の発展による業務効率化が進む中で、社員のマルチタスクが前提となったことなどがあります。このような背景を踏まえ、当社は成長戦略を実現するため、社員の社内育成と社外との連携を通じて必要なスキルを獲得しています。また、年齢や経歴にかかわらず未経験の仕事に挑戦できる機会を提供し、社員の向上心を高めています。

新たな中長期の成長戦略実現に向けて、以下のスキル取得を推進します。

エネルギー小売
・お客さま基盤の拡充と、お客さま毎にソリューションなどの最適なサービスを幅広く提案できるスキル
プラットフォーム
・法人向けにプラットフォーム導入のメリットを論理的かつ具体的な数字を用いて提案するための財務知識やテクノロジーの理解、また経営視点
デジタル/DX
・事業課題とテクノロジーを紐づけ、課題解決に向けたプロジェクトを実行できるスキル ・ソリューションとプラットフォームに必要なITスキル

①人材の再配置

2024年1月に当社及びグループ都市ガス3社を統合し、総合エネルギー小売会社(ニチガス)、エネルギープラットフォーム会社(エナジー宇宙)に再編、システム会社(雲の宇宙船)と合わせて3つの機能に分ける組織再編を実施しました。この組織再編により各社員の特性を踏まえて人材を再配置し、エネルギー小売、プラットフォーム、IT/DXの各分野の取組みを加速させます。

総合エネルギー小売会社(ニチガス)

グループの営業をニチガスに集約化することで、LPガス、電気、都市ガスと総合エネルギーの提案が可能な人材を育成しています。また、個人の強みを活かした人材の再配置により、社員のパフォーマンス向上にも繋げています。その事例として、再編前にお客さま対応を担当していた旧グループの都市ガス会社出身社員が、再編後にLPガスの新規契約獲得で全社1位の好成績を収めました。再配置の効果に加え、競争市場で培ったLPガスの営業マインドがグループ全体で共有されたこともプラスに影響しています。

春日部北営業所の小暮副所長(旧東彩ガス出身)。お客さまに寄り添った営業活動により、LPガス・電気・ガス機器の営業で好成績を残しています。電気とガスをセットでご提案しセット割引をご利用いただく、効率的なエネルギー利用に向けてハイブリッド給湯器をご提案するなど、お客さまの生活を一緒に考え、最適なご提案をすることで、お客さま満足度が向上し解約防止にも繋がっています。

エネルギープラットフォーム会社(エナジー宇宙)

エナジー宇宙では、プラットフォーム営業の専門部署を設立し、B to B営業を強化しています。この部署は、法人営業経験の豊富な東京電力グループからの転籍者が部長を務め、ニチガスの営業マインドと法人顧客の要望に応えるスキルを融合しながら営業を強化しています。また、充填、配送、保安、導管など各社のインフラを担う人材を集約し、多角的な視点でインフラ事業を見直すことで、コスト削減や保安の効率化などの効果を上げています。また、インフラ事業会社としてサービスを提供する意識が高まり、プラットフォーム事業の成長に繋がっています。

システム会社(雲の宇宙船)

IT/DXの推進を担う雲の宇宙船は、エネルギー小売とプラットフォーム・インフラの両方のシステムの責任を担っています。再編でシステム全般の責任を負うことが明確となり、利益や企業価値向上に向けた新しいKPIを設定、IT/DXを担う社員一人ひとりの経営マインドも高まっています。従来のシステム関連研修に加え、経営に必要な知識に係る研修を充実させ、技術と経営の両方の視点からシステム開発を進める人材を育成しています。

②スキルの再開発

IT技術の発展により社員のマルチタスクが前提となったことに加え、急速に変化する外部環境に対応するため、スキル再開発の必要性が高まっています。当社では、成長戦略の実現に必要なソリューションの提案力やデジタル/DXスキルの習得に向け、研修やジョブローテーションなどの取り組みを実施し、社員のスキル向上を積極的にサポートしています。また、未経験でも新たな仕事に挑戦できる環境を整備し、社員の自発的な成長意欲を高めています。

スキル
取り組み
ソリューション機器の営業力
・ハイブリッド給湯器や太陽光、蓄電池等の機器をお客さまに提供する営業ノウハウや知識等の研修会の実施。説明動画や資料の提供も行っている
デジタル/DXスキル
・ITパスポート資格の取得をサポート ・選抜社員に向けて、情報分析研修や東大メタバース工学部の受講を通じた最先端のITスキル獲得を支援
経営視点の獲得
・部門や組織横断でジョブローテーションを行い、お客さま向け提案力の向上や、経営視点の習得を促している ・CFOによる財務研修を実施し、ROICを意識した投資、営業活動を行う意識を浸透させている

③外部からの取り込み

脱炭素などの社会課題の解決と持続可能な成長を両立させるためには、エネルギーの地産地消を実現する分散型エネルギーシステムの構築が重要と考えています。これを実現するには、AIをはじめとする最先端のIT技術との融合が不可欠です。当社は最先端技術を活用するために、(1)専門的な知識を持った他社との連携を強化し、また(2)多様な人材が活躍できる環境を整備し(DE&I)、他社人材を含む多様な考えや意見を取り込む風土を醸成していきます。

(1)他社との連携

当社はこれまで、外部パートナーとの協業を通じて高度なIT技術を取り込みながらDXを推進してきました。今後は、プラットフォームとエネルギーソリューションの成長に向けて、IT技術の活用にとどまらず、エネルギー業界の枠を超えた多様な視点を取り入れることが重要と考えています。これまでの実績として、当社はIoTプラットフォーム企業のソラコム社との提携を通じて、ガスメーターをオンライン化し自動検針等を可能とするスマートメーター(スペース蛍)を共同開発しました。また、東京電力グループとの交流により電力事業のノウハウを学び、電力事業部を立ち上げました。東京電力グループとの連携では、東京電力エナジーパートナーと折半出資で設立した東京エナジーアライアンス社(TEA)において、都市ガス小売事業参入を志向する異業種企業の受け皿となるプラットフォーム事業を展開しています。今後も業種や会社規模にかかわらず、当社が現状有していないスキルを外部との連携を通じて取得し、企業成長に繋げます。

(2)多様な人材が活躍できる環境の整備(DE&I)

当社は、年齢、性別、国籍、経歴、学歴などのバックグラウンドを問わず、当社の企業価値向上に向けて挑戦する人材を職種に合わせて幅広く登用する方針です。当社は、多様な人材が活躍できる環境を整備することで、個々のスキルや意見を取り入れ、企業成長に繋げています。