人材育成とダイバーシティ
人材育成
当社は、エネルギー小売事業のさらなる拡大、新事業であるエネルギーソリューションおよびプラットフォームの加速(NICIGAS3.0)に向け、①人材の配置、②リスキリング、③他社との連携の3つを通じて人材育成を進め、企業価値を最大化してまいります。
①人材の配置
2024年1月に当社及びグループ都市ガス3社を統合し、「総合エネルギー小売会社」と「エネルギープラットフォーム会社」、これらを支えるシステム会社「雲の宇宙船」の3つに組織を分ける再編を実施しました。この組織再編により各社員の特性を踏まえて人材を再配置し、エネルギー小売、プラットフォーム、IT/DXの各分野の取り組みを加速させます。
エネルギー小売
組織再編でグループの営業を小売会社に集約しました。LPガス、電力、都市ガスと総合エネルギーの提案の質の向上を図ります。
当社は「すべては、お客さまのために」をスローガンに、LPガス自由化市場で地域の皆さまとの信頼関係を構築し、お客さまに選ばれることで成長してきました。挑戦する高い意欲を持った営業社員が集まっています。また都市ガス会社出身者は既存のお客さま向けへの丁寧なサービス、法人営業に強みを持っています。この営業マインドとノウハウをグループ全体で融合し、営業マインドを高めながら、ハイブリッド給湯器、太陽光発電システム、蓄電池などのエネルギーソリューション機器の販売、そしてエネルギーの最適利用の提案を行います。組織再編後、これまで既存のお客さま対応に注力していたグループ会社出身者が、LPガスの新規顧客獲得で活躍するなど、再編効果が徐々に表れています。
春日部北営業所の小暮副所長(旧東彩ガス出身)。お客さまに寄り添った営業活動により、LPガス・電気・ガス機器の営業で好成績を残している。電気とガスをセットでご提案しセット割引をご利用いただく、効率的なエネルギー利用に向けてハイブリッド給湯器をご提案するなど、お客さまの生活を一緒に考え、最適なご提案をすることで、お客さま満足度が向上し解約防止にも繋がっている。
プラットフォーム事業
組織再編でプラットフォーム会社「エナジー宇宙」に6名の営業専門部隊を構築し、法人向け営業を強化しています。東京電力エナジーパートナーと当社のジョイントベンチャーである東京エナジーアライアンス(TEA)とも連携し、東京エナジーアライアンスが培ってきたエネルギー事業者とのネットワークを活かして当社の事業エリア外(中部、関西、九州)においても法人のお客さまへの提案の機会を増やしています。なお、エナジー宇宙の営業専門部隊では、前東京エナジーアライアンス社長(東電グループ出身)がニチガスグループに転籍して部長を務めています。
IT/DX
IT/DXの推進を担うシステム会社「雲の宇宙船」は、エネルギー小売とプラットフォーム・インフラの両方のシステムの責任を担っています。再編でシステム全般の責任を負うことが明確となり、利益や企業価値向上に向けた新しいKPIを設定、IT/DXを担う社員一人ひとりの経営マインドも高まっています。従来のシステム関連研修に加え、経営に必要な知識に係る研修を充実させ、技術と経営の両方の視点からシステム開発を進める人材を育成しています。
②リスキリング
これまでの営業力強化は、先輩社員が実際の営業実務を通じて教育を行うOJTをメインとしていました。今後はさらなる企業成長に向け、一人ひとりが環境の変化に対応して新たな取り組みに挑戦することを目指し、各種研修を通じてリスキリングしていきます。営業、保安、コーポレート、工事等、部門・組織横断でジョブローテーションを行い、お客さま向け提案力の向上や経営の視点の習得を図っていきます。
エネルギー小売
成績優秀者による営業手法の共有やお客さま対応のロールプレイング研修を行い、営業スキルの向上と社員のモチベーションアップに繋げています。また機器メーカーの協力のもと、ハイブリッド給湯器や太陽光、蓄電池などの機器をお客さまにご提供するための知識や技術を学ぶ研修を実施し、エネルギーソリューション人材の育成に繋げています。研修に加え、説明動画・資料の提供を通じ、営業に必要な知識の習得ができる仕組みを構築しています。
プラットフォーム事業
エナジー宇宙の営業専門部隊では、ニチガス、旧・グループ都市ガス、TEAの出身者で、法人向け営業の経験のある人材が配属され、それぞれの得意領域におけるスキルやノウハウを活かして法人営業を強化しています。また、選抜人員が研修等に参加して他企業の皆さまとコミュニケーションを図り、他企業のDX経営の視点を取り入れ、プラットフォーム営業に役立てています。
IT/DX
当社のさらなる競争力の実現に向け、テクノロジーの取り込みを強化します。専門的な技術を持つIT人材との協業や各種研修などにより、積極的にテクノロジーをオペレーションに取り込んでいます。またIT人材だけではなく、事業サイドの人材がテクノロジーへの理解を深めることも重要と考え、全社員に向けてITパスポート資格取得サポート、選抜社員の東大メタバース工学部への派遣などを行い、社員のIT/DX関連の知識向上に努めています。2023年は、DX人材育成に向けた新たな取り組みとして、事業部門と技術部門の両方から人材を選抜してプロジェクトチームを始動し、第一段階として「ニチガス版Chat GPT」をリリースいたしました。「ニチガス版Chat GPT」は、通常の機能に加えて社内固有の情報検索も可能なシステムで、社員の業務生産性向上の一助となっています。また、データ分析や新規事業創出など各自が興味関心のあるITテーマの研修を自主的に受講できる体制や、大手企業をはじめとする他社のIT/DX人材と交流し意見交換できる体制を整え、社員のリスキリングを図っています。将来的には雲の宇宙船として他企業に向けたサービス提供を目指しており、より広い視点でのDX/IT技術向上に取り組んでいきます。
③他社との連携
当社が現状有していないスキルを外部から取り入れて価値を共創し、企業価値向上に繋げる方針です。既に当社では、電力事業部長(現、当社執行役員)を含め東京電力グループからの出向受入により電力事業のノウハウを当社に取り入れ、電力事業部が立ち上がりました。またガスメーターをオンライン化し、自動検針などを実現したスペース蛍も当社とIoTプラットフォーム企業であるソラコム社で共同開発した商品です。エネルギーソリューションの推進に欠かせない蓄電池の普及においては、PowerX社と資本業務提携を締結しています。当社は新たな技術やノウハウの習得に向けて、PowerX社やソラコム社、東京電力グループに当社の選抜社員を派遣する「武者修行プラン」を行っています。例えば、PowerX社への出向では蓄電池などのソリューション機器設置や販売、エネルギーマネジメント(アービトラージ取引)などを学び、帰任後は、出向を通じて得た知識や法人向けの提案ノウハウを活かしてニチガス版・スマートシティ構築に向けた事業推進に貢献しています。
2023年4月から1年間、PowerX社に出向した五賀主任