ガバナンスの強化
コーポレート・ガバナンス体制
コーポレート・ガバナンスとは持続的な企業価値向上を実現するための仕組みと考えています。当社は、監査役会設置会社を選択しています。これは、当社のユニークなビジネスモデルを社内外の取締役がバランス良くコントロールすることを重視する一方で、当社の事業規模や組織体制などを勘案すると、各監査役がスピーディーに監査の権限を行使できる体制が相応しいと考えるためです。
コーポレート・ガバナンス体制
2024年6月25日現在
取締役会
取締役会は事業を熟知した取締役の意思決定が重要と考えることから社内取締役を3分の2とし、一方でガバナンスの中核事項である指名・報酬機能については、社外取締役が過半数を占め、かつ委員長も社外である指名報酬・環境等委員会(旧名称:ESG経営推進委員会)を設置して諮問を行うこととしています。2024年6月末現在、取締役6名のうち3分の1である2名(うち1名女性)が社外、監査役3名を含めた取締役会の出席者の構成では、44%が社外です。
取締役会メンバーのスキルマトリクス(2024年6月25日現在)
当社は中長期的企業価値の成長に必要と考えるスキルを特定し、スキルマトリクスを作成しています。企業価値の成長に必要と考えるスキルを毎年見直し、当社に必要なスキルや知見などを社外取締役の参画で補完し、議論を通じた企業価値の向上に繋げています。独立社外取締役は他社での経営経験を有する者を含んでいます。
指名報酬・環境等委員会(旧名称:ESG経営推進委員会)
本委員会は、2020年からこれまで、ESG経営推進委員会の名称で、取締役会の諮問機関としてESGに関わる事項について諮問を受け、取締役会に答申してきました。本委員会は、このたび、その活動目的について討議を行い、その結果、取締役会のモニタリング機能の中核となる指名(人事)、報酬、および中長期戦略の要となる環境が、最も重要な検討事項であることを確認し、2024年6月25日開催の取締役会にて、名称を「指名報酬・環境等委員会」に改めることにしました。この名称変更により、本委員会の活動目的がより明確になるとともに、ステークホルダーの皆さまからもわかりやすいガバナンス体制になると考えています。
本委員会は取締役会の任意の諮問機関であり、5名(社外3名、社内2名)で構成しています。2024年6月末現在、議長は社外取締役(山田剛志)、委員は社外取締役(里中恵理子)、社外監査役(折原隆夫)、代表取締役社長執行役員(柏谷邦彦)、代表取締役専務執行役員(土屋友紀)です。重要人事や報酬、ESG経営の視点を踏まえた長期経営課題やサステナビリティ重点課題、それらに対する具体的な施策と進捗、役員報酬(役員報酬)、役員の選解任、後継者計画などを重点テーマとして議論し、取締役会に報告しています。
社長執行役員を含む役員の選任については、同委員会にて十分な議論を重ね、候補者が十分に資質を備えているかを多方面で確認して決議し、取締役会に報告しています。本委員会における議論の内容は議事録にて管理しています。また解任については、業績の低迷などを理由に社長を含めた取締役、執行役員の解任を検討すべき場合には本委員会を招集し、解任または辞任勧告について審議できる体制を取っています。
経営会議
業務執行に係る意思決定を行う会議体で、以下のメンバー(男性10名、女性0名)で構成しています。
- 当社:会長執行役員、社長執行役員、営業本部本部長および副本部長、コーポレート本部本部長および副本部長、常勤監査役
- グループ子会社の社長執行役員など
原則月1回開催し、各部署から業務の状況などを報告(4-5議題/月)したうえで、取締役会で決議した経営計画や戦略の具体的施策を議論・実行することで機動的に業務を執行しています。2023年3月期からは下部組織として投資委員会を設置し、30百万円を超える投資については、経営会議に先立って本委員会で検討しています。また投資後の進捗を適宜モニタリングし、経営会議に定期的に報告しています。
グループ執行役員会議
社内取締役、常勤監査役、執行役員、および子会社各社の社長で構成し(男性23名、女性1名)、原則月1回開催しています。各部門の目標達成に向けた具体策と実施状況、KPIの進捗、業務改善や新たな取り組みについて議論しています。
監査役会
当社の監査役会は、独立社外監査役2名を含む3名で構成しています。監査役会が各監査役の独任制により取締役の職務執行の調査権限を行使することで、より緊張感のある経営が実現できるものと考えています。常勤監査役は、グループ会社全体の業務執行状況や往査の結果などを社外監査役へ報告し、社外監査役は独立した立場と専門的な知見から意見や助言を述べ、これを基に活発な意見交換を行うことにより、取締役の業務執行を監視・検証しています。
監査役会は、監査方針および監査計画にもとづき、取締役会などの重要な会議への出席や取締役との定期的な意見交換などを通じて、取締役の業務執行状況を監視・検証しています。
監査役会の具体的な検討内容は、監査の方針、監査計画、想定される事業リスク、内部統制システムの整備・運用状況などの重点監査項目、会計監査人の監査の方法および結果の相当性などです。
また、監査の実効性向上には会計監査人、内部監査部門との連携が重要であると考え、三様監査会議を定期的に開催し、それぞれの視点・役割にもとづく監査状況の報告や意見交換を行うほか、会計監査人や内部監査部門による往査についても積極的に同行しています。また社外取締役との意見交換会やグループ監査役連絡会を開催し、さらなる連携の強化を図ります。
役員報酬
当社の取締役・執行役員の報酬は、役員が株主の皆さまと同じ船に乗り、当期のみならず中長期的な企業価値向上を意識づける設計とし、(1)連結営業利益などの業績に連動する基本報酬と(2)株主価値との連動性をより意識した株式報酬で構成しています。
当社は、取締役会の任意の諮問委員会として指名報酬・環境等委員会(社外取締役が委員長を務め、過半数が社外役員)を設置し、本委員会が役員報酬の決定に主体的に関与しています。本委員会で議論を深め、役位や責務ごとに有用な業績連動のKPI設定なども検討していく方針です。
(1)業績に連動する報酬と(2)株式報酬、両方の対象となる役員数(2024年3月期)
取締役 | 4名 |
執行役員 | 18名 |
- 取締役の報酬限度額は、2015年6月開催の第61回定時株主総会において年額400百万円以内(うち、社外取締役年額30百万円以内)と決議しています。
- 社外取締役は、社内経営陣による過剰なリスクをともなう業務判断を回避させるなどの役割と、その役割を担うための独立性の担保を鑑み、固定の基本報酬のみを支給し、業績に連動する報酬や株式報酬は支給しない方針です。当社はこの仕組みにより、社外取締役の監督責任がより担保されるものと考えています。
(1)業績に連動する基本報酬
各取締役、執行役員の個別基本報酬は、連結営業利益などの業績に連動し、独立外部評価者※による評価を基礎として算定します。
- ※
経営を専門とする2名の大学教授。 経営および役員報酬の算定根拠となる業績評価に高い知見を有すると判断し、2015年から評価を依頼。当社の経営、役員のスキルや課題を熟知し、適切なKPIの設定が可能。
基本報酬決定の流れ
- 各取締役・執行役員(対象者)は、取り組んだ課題および実績について、事業年度終了後に独立外部評価者と評価面談を実施。
- 独立外部評価者が、面談結果をもとに、対象者の役割・責務別に求められる項目ごとに定量・定性評価を実施。定量評価は、会社全体の営業利益および各役員が評価期間の初めに掲げたKPI達成状況で評価。定性評価は企業価値向上への貢献、方針策定と戦略の浸透、後継者の育成と発掘、専門能力、先見性などの項目により評価。特に過去の慣習や成功体験にとらわれない変革力を重視。
- 社長および人事部管掌役員が、独立外部評価と本部長による対象者への内部評価にもとづき、個人別の基本報酬の考え方を決定し、指名報酬・環境等委員会に諮問する。同委員会から答申をもとに、社長および人事部管掌役員が最終的に個別の基本報酬を決定する。
(2)株式報酬(BIP信託制度)(2015年~)
中長期インセンティブプランとして、5事業年度を対象に851百万円、かつ690,000株(分割後)を上限に取締役、執行役員に株式を付与するもので、株主の皆さまと同じ船に乗り、中長期的な利益価値を共有することを目的としています。本制度はBIP信託制度を利用し、各自の役位や基本月額報酬(連結営業利益などの達成度に応じて変動)にもとづき毎年ポイントを付与、在任期間中はポイントが累積され、退任時に付与します。
- ※
連結営業利益等の業績に連動する基本報酬と株式報酬の割合は、社内規程において役位ごとに定められた役位係数により決定します。上位役職ほど株式報酬の割合が高まります。